苔テラリウムの土は専用でなくても大丈夫?100均で揃えたり、代用品や土を使わない方法も紹介
「苔テラリウムを始めてみたいけど、専用の土は必要なの?」「苔テラリウムのソイルは代用できますか?」そんな疑問をお持ちではありませんか。
いざ挑戦しようと思っても、苔を育てる土はなんでもいいのか、また苔テラリウムに適した土とはどんなものなのか、用土選びは最初の悩みどころですよね。
実は、必ずしも専用の土を用意する必要はありません。テラリウムの土の代わりになるものは、意外と身近な場所で手に入ります。例えば、ダイソーやセリアといった100均、またはホームセンターなどで見つかるハイドロボールなどがおすすめです。
この記事では、初心者の方でも安心して挑戦できるよう、代用土の作り方から、おすすめの配合まで、苔テラリウムの土に関する情報を網羅的に解説していきます。
- 苔テラリウムに使える代用土の種類がわかる
- 100均や身近な店で材料を揃える方法
- 初心者でも簡単な苔テラリウムの作り方
- 代用土を使う際のメリットと注意点

苔テラリウムの土は代用可能!基本知識を解説
- 苔テラリウムのソイルは代用できますか?
- そもそも苔テラリウムに適した土は?
- 苔を育てる土はなんでもいいの?
- テラリウムの土の代わりになるものは?
- 代用品の定番ハイドロボールとは?
苔テラリウムのソイルは代用できますか?
結論から言うと、苔テラリウムのソイル(土)は代用できます。苔の栽培において、専用のソイルは必ずしも必須ではありません。
その理由は、苔が一般的な植物とは異なる性質を持つためです。
多くの植物は根から水分や養分を吸収しますが、苔にはそのような役割を持つ「根」がなく、「仮根(かこん)」と呼ばれる器官で体を固定します。水分や養分は主に葉の表面から吸収するのです。
このため、苔テラリウムにおける土の主な役割は、体を支える土台となり、容器内の湿度を適切に保つことです。これらの条件を満たせる素材であれば、専用のソイルでなくても問題なく苔を育てられます。
「専用品じゃないと枯れてしまうかも…」と心配する必要はありません。むしろ、身近な素材で気軽に始められるのが苔テラリウムの魅力の一つですよ。
そもそも苔テラリウムに適した土は?

苔テラリウムを健康に維持するためには、土が持つべきいくつかの重要な条件があります。苔の種類によって若干の好みはありますが、一般的には以下の特徴を持つ土が適していると言えます。
苔テラリウムに適した土の4つの条件
- 栄養が少ないこと: 栄養分が豊富な土は、苔の成長に不要なだけでなく、カビや藻が発生する原因になります。
- 清潔であること: 密閉された容器内では雑菌が繁殖しやすいため、殺菌処理された清潔な土を使いましょう。
- 適度な保水性と排水性: 苔は湿気を好みますが、水浸しの状態は根腐れならぬ「仮根腐れ」や蒸れにつながります。水分を保ちつつ、余分な水は排出できるバランスが理想です。
- 弱酸性であること: 多くの苔は弱酸性(pH 5.0〜6.0程度)の環境を好みます。
これらの条件を満たす土として、園芸店などでは赤玉土や富士砂、くん炭などをブレンドした専用ソイルが販売されています。しかし、これらの条件を理解すれば、自分で素材を組み合わせて作ることも十分に可能です。
苔を育てる土はなんでもいいの?
苔に適した土がある一方で、もちろん「向いていない土」も存在します。「土ならなんでもいいだろう」と考えて使うと、カビだらけになったり、虫が湧いたりといったトラブルの原因になるため注意が必要です。
苔テラリウムに不向きな土の例
栄養豊富な園芸用培養土
草花を育てるために作られた培養土には、肥料成分や腐葉土がたっぷり含まれています。これが苔テラリウムでは逆効果となり、カビやキノコ、招かれざる虫たちの温床になってしまいます。
庭や公園から採ってきた土
屋外の土には、目に見えない虫の卵や微生物、雑草の種などが無数に含まれています。そのまま使うと、後から容器の中でこれらが活動を始め、あっという間に苔の楽園が崩壊してしまう可能性があります。
特に初心者のうちは、こうしたリスクを避けるためにも、園芸店や100円ショップなどで販売されている清潔な用土を選ぶのが無難です。きれいな苔テラリウムを長く楽しむために、土選びは慎重に行いましょう。

テラリウムの土の代わりになるものは?
専用のソイルが手に入らなくても、苔テラリウム作製を諦める必要はありません。なぜなら、苔の生育に不可欠な「適度な湿度の保持」と「体を支える土台」という役割を果たせる素材は、私たちの身近に数多く存在するからです。
大切なのは、それぞれの素材が持つ特性を正しく理解し、ご自身の作りたいデザインや管理のしやすさに応じて賢く選択することにあります。まず、代表的な代用素材の概要を一覧で確認してみましょう。
素材名 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
ハイドロボール | 粘土を焼いて発泡させた人工用土。多孔質で軽い。 | 清潔で虫がわきにくい。通気性・排水性が高い。 | 栄養がない。苔の固定がしにくい場合がある。 |
赤玉土(小粒・細粒) | 火山灰土を乾燥させた園芸基本用土。弱酸性。 | 保水性・排水性のバランスが良い。安価で手に入りやすい。 | 繰り返し使うと崩れて排水性が悪くなることがある。 |
ピートモス | ミズゴケなどが堆積してできた有機質用土。酸性が強い。 | 非常に高い保水性を持つ。土壌を酸性に保つ。 | 乾燥すると水を吸いにくい。単体では過湿になりやすい。 |
くん炭 | もみ殻を炭化させたもの。アルカリ性。 | 通気性・排水性の改善。脱臭や浄化作用が期待できる。 | 入れすぎると土がアルカリ性に傾き、乾燥しやすくなる。 |
化粧砂利・カラーサンド | 装飾用の砂や小石。 | デザイン性が高く、様々な色や形を選べる。 | 保水性はないため、土台となる土が別途必要。 |
ここからは、それぞれの素材について、さらに深掘りして解説していきます。
用土のベースとなる「赤玉土」
苔テラリウム用土の代用品を考える上で、まさに基本の「き」とも言えるのが赤玉土です。関東ローム層の火山灰土を乾燥させて作られるこの園芸用土は、それ自体が多くの苔にとって快適な環境を提供してくれます。
内部に無数の微細な穴が開いている多孔質な構造をしており、この穴が水分や空気を程よく保持するため、保水性と排水性のバランスに非常に優れています。また、もともと弱酸性である点も、多くの苔に適している理由の一つです。

使用上の注意点
赤玉土は便利な反面、長く使っていると粒が崩れて「微塵(みじん)」と呼ばれる細かい粉末状になりやすい性質を持ちます。この微塵が容器の底に溜まると、水はけが悪化し根腐れの原因になりかねません。これを防ぐためには、通常のものより硬く崩れにくい「硬質」や「焼成」タイプの赤玉土を選ぶことをおすすめします。
湿度を調整する素材「ピートモス」と「くん炭」
赤玉土をベースとしながら、より機能性を高めたい場合に活躍するのが、保水性を担うピートモスと、土壌環境を整えるくん炭です。
ピートモスは、ミズゴケなどが長い年月をかけて堆積・腐熟してできたもので、その繊維質な構造から非常に高い保水力を誇ります。乾燥しやすい環境にテラリウムを置く場合や、特に湿潤な環境を好む苔を育てる際に少量混ぜ込むと、水やりの頻度を減らすことができます。ただし、一度完全に乾燥させてしまうと水を弾きやすくなるため、使用前にはあらかじめ湿らせておくのが上手く使うコツです。
一方のくん炭は、もみ殻を蒸し焼きにして炭化させたもので、土壌の通気性や排水性を高める働きがあります。また、内部の微細な穴が容器内の余分な老廃物などを吸着する効果や、酸性に傾きすぎた土壌のpHを穏やかに調整する役割も期待できます。まさに、テラリウム内の環境をクリーンに保つための「名脇役」と言えるでしょう。入れすぎると土がアルカリ性に傾いてしまうため、全体の1割程度を目安に配合するのが基本です。
デザイン性を高める素材
機能性だけでなく、見た目の美しさを追求できるのも苔テラリウムの醍醐味です。ハイドロボールは、その代表格と言えます。清潔感のある球状の粒は、モダンでスタイリッシュな印象を与え、土を使わないテラリウムのベースとしても人気があります。
ただし、粒が大きく転がりやすいため、苔の仮根が張りにくいという側面も持ち合わせています。主に容器の底に敷く排水層として活用するのが一般的です。
化粧砂利やカラーサンドは、テラリウムの完成度を一層高めるための仕上げ材です。用土の表面を覆って隠したり、作品内に小道を作ったりと、アイデア次第で多彩な景色を演出できます。これらはあくまで装飾材であり、保水性などの機能は持たないため、必ずベースとなる用土の上に敷いて使用します。
このように、それぞれの素材が持つ特性は一つではありません。複数の役割や特徴を理解した上で、ご自身の目的に応じてこれらを配合することこそが、苔にとって快適な環境を作り出す鍵となります。

代用品の定番ハイドロボールとは?
苔テラリウムの土の代用品として、特に人気が高いのがハイドロボールです。これは「ハイドロカルチャー(水耕栽培)」でよく使われる素材で、粘土を高温で焼いて作られた茶色いボール状の人工石を指します。
ハイドロボールの主な特徴
内部にたくさんの気泡がある「多孔質」な構造が最大の特徴です。この構造のおかげで、「通気性」「排水性」「保水性」の3つのバランスに優れています。また、無機質で高温殺菌されているため、非常に清潔でカビや虫が発生しにくい点も大きなメリットです。
使い方はとても簡単で、容器の底に敷き詰めるだけでOKです。これにより、水はけの悪い容器でも根腐れを防ぐための「排水層」として機能します。土の代わりとしてハイドロボールだけを敷き、その上に直接苔をレイアウトするデザインも、モダンでおしゃれな印象になります。
ハイドロボールの注意点
ハイドロボール自体には栄養分が全く含まれていません。苔にとっては好都合ですが、もし他の植物と一緒に植える場合は工夫が必要です。また、粒が大きく転がりやすいため、苔をしっかり固定しにくいことがあります。その場合は、苔とハイドロボールの間に薄く水苔などを挟むと安定しやすくなります。

苔テラリウムで土の代用になる素材と作り方
- ダイソーやセリアなど100均で揃える
- ホームセンターで買える代用土
- 100均アイテムを使った簡単な作り方
- 自分だけの土を作る配合レシピ
- 初心者向けのおすすめブレンドを紹介
- 気軽に始める苔テラリウムの土の代用
ダイソーやセリアなど100均で揃える

「苔テラリウムを始めたいけど、初期費用は抑えたい」という方にとって、ダイソーやセリアといった100円ショップはまさに宝の山です。園芸コーナーを探せば、苔テラリウムの土の代用として使えるアイテムが驚くほど簡単に見つかります。
100均で見つかる主な代用土
赤玉土(小粒)
苔テラリウム用土のベースとして最も使いやすいのが赤玉土です。多くの100円ショップで小袋に入って売られており、手軽に入手できます。
ピートモス
保水性を高めたい場合に便利な素材です。ダイソーなどで見かけることがあります。赤玉土と混ぜて使うのが基本です。
水苔
土の代わりというよりは、土台と苔の間に敷いたり、保湿性を高めたりするのに役立ちます。乾燥した状態で売られているので、水で戻して使います。
カラーゼオライト・化粧石
容器の底に敷く「根腐れ防止剤」として、また見た目を華やかにする化粧砂として使えます。カラフルなものが多く、デザインの幅が広がります。
容器やピンセットなどの道具も100均で揃えれば、苔以外は1,000円以下で全ての材料が揃うことも。まさに初心者にとって最高のスタート地点と言えますね。
ホームセンターで買える代用土

もし100円ショップで目当てのものが見つからなかったり、もう少し本格的な素材を試してみたかったりする場合には、ホームセンターの園芸コーナーへ行ってみましょう。より多様な種類の用土が、様々な容量で販売されています。
ホームセンターのメリットは、品揃えの豊富さです。例えば、赤玉土一つとっても、「硬質」や「焼成」といった崩れにくいタイプや、粒のサイズも細粒から大粒まで選べます。苔テラリウムには、清潔で崩れにくい「硬質」または「焼成」の赤玉土(小粒・細粒)が特におすすめです。
ホームセンターで探したい代用土
- 硬質赤玉土: 通常の赤玉土より硬く、粒が崩れにくい。
- 富士砂・桐生砂: 排水性に優れた火山性の砂。黒っぽい色合いが苔の緑を引き立てます。
- くん炭: 土壌環境を整える効果が期待できる炭。大袋で売られていることが多いです。
- バーミキュライト: 保水性・通気性を高める鉱物。非常に軽いのが特徴です。
また、アクアリウムコーナーがあれば、水草用の「ソイル」も選択肢に入ります。これらは栄養分を含むものが多いですが、通気性や保水性のバランスが良く、見た目も美しい黒い粒状なので、苔テラリウムに流用する方も多くいます。
100均アイテムを使った簡単な作り方
それでは、実際に100円ショップの材料を使って苔テラリウムを作ってみましょう。ここでは、ダイソーやセリアで手に入るアイテムを想定した、初心者向けの簡単な作り方を紹介します。

準備するもの
- ガラス容器(フタ付きがおすすめ)
- カラーゼオライト(根腐れ防止剤として)
- 赤玉土(小粒)
- 水苔
- お好みの苔
- ピンセット、スプーン、霧吹き
作成手順
Step1: 排水層を作る
まず、容器の底にカラーゼオライトを1〜2cmほど敷き詰めます。これは容器の底に水が溜まり、苔が傷むのを防ぐための重要な工程です。
Step2: 土台を作る
次に、水で戻した水苔を軽く絞り、ゼオライトの上に薄く敷きます。これは、上に入れる赤玉土が下の隙間に落ちるのを防ぎ、見た目をきれいにする役割があります。
Step3: 土を入れる
いよいよ土の代わりとなる赤玉土を入れます。容器の1/3程度の高さまで入れ、スプーンの背などを使って軽く押し固めます。このとき、奥を高く、手前を低くするなど、傾斜をつけると立体感が出ておしゃれなレイアウトになります。
Step4: 苔を植える
霧吹きで土を軽く湿らせてから、ピンセットを使って苔を植えていきます。苔の裏側についている古い土やゴミは丁寧に取り除いておきましょう。土の上に苔を置き、指で優しく押さえて密着させます。
Step5: 仕上げ
最後に全体に霧吹きで水を与え、容器の壁についた土汚れなどを拭き取れば完成です。石や小さなフィギュアを飾るのも楽しいですよ。
自分だけの土を作る配合レシピ

苔テラリウムに慣れてきたら、複数の素材を混ぜ合わせて、自分だけのオリジナルソイル作りに挑戦してみるのも一興です。配合を変えることで、保湿性を高めたり、排水性を重視したりと、育てる苔の種類や置く環境に合わせた調整が可能になります。
ここでは、ベースとなる赤玉土(小粒)に他の素材を加えていく、基本的な配合レシピを紹介します。
目的別・配合レシピ例
バランス重視ブレンド(初心者向け)
赤玉土 7:腐葉土 1:川砂 2
最も基本的な組み合わせです。ただし、腐葉土はカビのリスクがあるため、ごく少量にするか、代わりにピートモスを使うとより安全です。
保水性重視ブレンド(乾燥しやすい環境向け)
赤玉土 5:ピートモス 4:くん炭 1
ピートモスを多めに配合することで、水分を長く保持できるようにします。乾燥しがちなリビングなどに置く場合におすすめです。
排水性重視ブレンド(湿度の高い環境向け)
赤玉土 5:桐生砂(または富士砂) 4:くん炭 1
砂の割合を増やして、水はけを良くしたブレンドです。蓋つきの容器で蒸れやすい場合や、梅雨時期の管理が楽になります。
配合に「正解」はありません。これらの比率を参考に、ご自身の環境に合わせて色々と試してみてください。素材を混ぜ合わせる際は、大きなボウルなどの中で、霧吹きで少し湿らせながら行うと、ホコリが立たず均一に混ざりやすくなります。
初心者向けのおすすめブレンドを紹介
「配合レシピは難しそう…」と感じる初心者の方に、まず試していただきたい、最もシンプルで失敗の少ないおすすめのブレンドを紹介します。
それは、「赤玉土(小粒)+ くん炭」の組み合わせです。
比率は、赤玉土:くん炭 = 9:1 程度が目安です。これなら、100円ショップで手に入る赤玉土に、ホームセンターなどで購入したくん炭を少し加えるだけで作れます。
なぜこの組み合わせがおすすめなのでしょうか?
赤玉土は、それ自体が保水性・排水性・通気性のバランスに優れた基本用土であり、苔が必要とする弱酸性の環境を提供してくれます。これだけでも十分に土の代用として機能するのです。
そこにくん炭を少量加えることで、いくつかのプラス効果が期待できます。くん炭は多孔質で、容器内の余分な水分や老廃物を吸着し、浄化する働きがあるとされています。また、通気性をさらに向上させ、土が固く締まりすぎるのを防いでくれるのです。
ピートモスや腐葉土のように、有機質ではないためカビのリスクも低く、扱いやすいのが最大のメリット。まずはこのシンプルなブレンドから始めて、苔の様子を見ながら他の素材を試していくのが良いでしょう。

気軽に始める苔テラリウムの土の代用
- 苔テラリウムの土は専用品でなくても代用できる
- 苔は土から栄養を摂らないため代用品で問題ない
- 適した土の条件は清潔で栄養が少なく弱酸性であること
- 保水性と排水性のバランスが良い土を選ぶのがポイント
- 栄養豊富な園芸用培養土や未殺菌の庭の土は避けるべき
- 土の代用品は100均やホームセンターで手軽に揃えられる
- ダイソーやセリアでは赤玉土やゼオライトが見つかる
- ホームセンターならより専門的な用土も選択可能
- 赤玉土をベースに他の素材を配合してオリジナルソイルも作れる
- 初心者には赤玉土とくん炭のシンプルなブレンドがおすすめ
- 作り方は底に排水層を敷き土を入れ苔を植えるだけと簡単
- 代用土を使えばコストを抑えて気軽に始められる
- カビや虫の発生を防ぐため清潔な素材を選ぶことが最も重要
- まずは100均素材で苔テラリウム作りに挑戦してみよう
確かに、苔って必ずしも土のないところにも生えてますよね。石垣の壁面とか、木の幹とか…。