「苔」「藻」という言葉を耳にしたとき、多くの方は同じようなものだと感じてしまうかもしれません。
水槽のガラス面に発生する緑色の汚れを「コケ」と呼んだり、池の表面に浮かぶものを「藻」と表現したり、その違いはあいまいになりがちです。しかし、植物としてのコケと、光合成を行う藻類の間には明確な違いが存在します。
例えば、まりもと苔の違いは何ですか?と疑問に思う方もいるかもしれませんし、見た目が似ているカビと藻の違いは何ですか?という疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。さらに、「苔藻」という読み方自体に戸惑いを感じるケースもあるかもしれません。この記事では、これらの混同しやすいポイントを解消し、苔藻の除去といった具体的な問題への原因や対策、そして見分け方まで詳しく解説していきます。
この記事を読むことで「苔 藻 違い」と検索した読者が具体的に何について理解を深められるかは以下の通りです。
- 苔と藻の生物学的な分類と定義
- アクアリウムで呼ばれる「コケ」の正体
- 苔テラリウムにおける藻の発生と対処法
- 日常生活で役立つ苔と藻の簡単な見分け方

苔と藻の明確な違いを解説!分類から見分け方まで
- コケと藻の違いは何ですか?
- そもそも藻とはどのような生物か
- まりもと苔の違いは何ですか?
- 苔藻の読み方について
- アクアリウムの苔は藻なのか
コケと藻の違いは何ですか?
苔と藻は、見た目が似ているため混同されやすいですが、生物学的には異なるグループに分類されます。
簡潔に言えば、苔は「植物」であり、藻は「植物ではない光合成を行う生物の総称」です。
この根本的な違いが、それぞれの生態や特性に大きく影響しています。苔植物は、一般的に根・茎・葉の区別がはっきりしないものが多く、水や栄養を運ぶ維管束を持たない点が特徴です。
一方で藻類は、その種類によって構造が大きく異なり、単細胞のものから巨大な海藻まで多岐にわたります。

生息環境の違い
苔は陸上で生活することが多く、特に湿った環境を好みます。湿気の多い場所の岩や樹木、土の上などでよく見かけることができます。
一方、藻は水中に生息するものが圧倒的に多いです。池や川、海はもちろんのこと、アクアリウムの水槽内などでも頻繁に観察されます。しかし、前述の通り、例外も存在します。例えば、水中に生息するコケもありますし、陸上の湿った場所で見られる気生藻と呼ばれる藻類も存在するからです。
そもそも藻とはどのような生物か
藻類は非常に広範な生物群で、その定義は「陸上植物以外で、光合成をするものの総称」とされています。
そのため、アオミドロやクロレラのように顕微鏡でしか見えない微細なものから、食卓でおなじみの昆布やワカメといった海藻まで、多種多様な生物が含まれています。
かつては藻類も植物として分類されることがありましたが、現在の生物分類学の見解では、種子植物、シダ植物、コケ植物のみが植物に含められ、藻類は植物には含めないのが一般的です。
藻類の進化と陸上植物の祖先
興味深いことに、藻類の中でも特に緑藻類というグループは、陸上植物の祖先であると考えられています。つまり、進化の過程で緑藻類の一部が陸上に進出し、それがコケ植物やシダ植物へと発展していったということです。
この進化の経緯を考えると、コケと藻類がどこか似ているように見えるのも納得できます。両者が光合成を行うという共通点を持っているのも、この進化的なつながりが背景にあるためです。
まりもと苔の違いは何ですか?
北海道の阿寒湖などで有名なまりもは、その可愛らしい球状の姿から「コケ」だと思われがちですが、実際には「藻」の一種です。
具体的には、緑藻類に分類されるアオミソウ属の集合体です。まりもが水中で生活していることからも、それが藻類であると判断できます。
コケ植物は主に陸上で生活するのに対し、藻類は水中で生活するものがほとんどであるという一般的な原則が、まりもにも当てはまるのです。

苔藻の読み方について
「苔藻」という言葉は、一般的に「コケモ」と読まれることが多いです。この言葉は、苔と藻の両方を指す場合や、単に水中に発生する藻類を指す際に使われることがあります。
しかし、植物学的な分類上は苔と藻が明確に異なるため、厳密に区別する場面では「苔」と「藻」を分けて表現するのが適切です。特に専門的な文脈では、それぞれの生物群を指す際に混同しないよう注意が必要です。
アクアリウムの苔は藻なのか
アクアリウムの世界では、水槽のガラス面や水草、レイアウトの石などに付着する緑色の汚れを一般的に「コケ」と呼びます。しかし、これは生物学的なコケ植物ではありません。
前述の通り、アクアリウムで見られる「コケ」の正体は、ほとんどが藻類の一種です。藍藻や茶ゴケなど、様々な種類の藻類が水槽内で繁殖し、しばしば問題となることがあります。
水槽用品店で「コケ取り」や「コケ掃除」と表記されている商品は、この藻類を除去するためのものです。この表現が、苔と藻の混同を引き起こす最大の要因の一つと言えるでしょう。
苔と藻の違いを理解するポイントと対策
- 苔テラリウムの藻の発生原因と対策
- 藻の除去方法と予防策
- 苔と藻の具体的な見分け方
- カビと藻の違いは何ですか?
- 苔と藻の違いをまとめる
苔テラリウムの藻の発生原因と対策
苔テラリウムを長く育てていると、ソイルやガラス面に緑色の藻が発生して汚れてしまうことがあります。これは、前述の通り、苔テラリウム内で発生する「コケ」が実際には藻類であるためです。
藻が発生する主な原因は、テラリウム内の「養分過多」にあります。特に、窒素成分を多く含むソイルを使用したり、液肥を与えすぎたりすると、藻が繁殖しやすい環境を作り出してしまいます。
水槽で魚や水草を育てる際も、魚の排泄物などによって水中の養分が過多になり、藻が発生することがよくあります。
ソイルとは…
アクアリウム(水槽)で底床材として使用される、土を焼き固めた粒状の素材のことです。水草の育成に必要な栄養を含み、水質を調整する機能を持つものもあります。

藻を発生させないための予防策
藻の発生を抑制するには、予防的な対策が重要です。主な予防策は以下の通りです。
- 肥料分の少ないソイルを使用する: 苔はほとんど肥料分を必要としません。そのため、肥料分が含まれていない苔テラリウム専用のソイルを使用することが推奨されます。栄養分の多いアクアリウム用のソイルは、藻の繁殖を促進する可能性があります。
- 作成時に藻が入らないように注意する: テラリウム作成時に使用する石や流木に藻が付着している場合があります。これらが持ち込まれると、そこから藻が繁殖する原因となるため、使用前によく水洗いすることが大切です。
藻の除去方法と予防策
すでに苔テラリウム内に藻が発生してしまった場合の対策としては、根本的な解決策と、状況を改善するための方法があります。
発生後の藻の対策
対策 | 内容 | 注意点 |
ソイルの入れ替え | ソイル部分に発生した藻は、ソイル自体を入れ替えることで取り除けます。 | 部分的な発生であれば、その部分だけを入れ替えることも可能です。 |
水洗い | ソイル中に含まれる余分な栄養分を洗い流す目的で行います。 | この方法は、藻が発生しやすい環境を整える予防的な対策であり、すでに発生した藻を直接除去する効果は薄いです。 |
水洗いを行う際は、容器いっぱいに水をゆっくり注ぎ、ソイルが舞い上がらないように注意してください。その後、スポイトなどで水をゆっくりと吸い出すことで、余分な栄養分を排出できます。
ただし、この方法は苔がある程度成長してしっかりと根付いていないと、レイアウトが崩れる可能性があるため注意が必要です。また、水槽用に販売されている藻を駆除する薬剤は、苔にも害を及ぼす可能性があるため、苔テラリウムには使用しないでください。

苔と藻の具体的な見分け方
苔と藻を見分ける具体的なヒントをいくつかご紹介します。これらを参考にすることで、目の前の生物が苔なのか藻なのかを判断しやすくなるでしょう。
- 生育環境: 最も分かりやすいのは、生息している場所です。前述の通り、陸上で湿った場所にあるものは苔である可能性が高く、水中に生息しているものは藻である可能性が高いです。例えば、石の上や樹皮に生えている緑色のフワフワしたものは苔であることが多いですが、水槽のガラス面や水中に漂う緑色の糸状のものは藻であると考えられます。
- 個体の形: 苔は一個体の形が比較的はっきりしているものが多いです。小さな茎や葉のような構造を持つものが見られます。一方で藻は、個々の形がはっきりせず、小さな集合体としてモヤモヤとしたり、膜状になったりしていることが多いです。昆布やワカメのような海藻であれば個体の形状は明確ですが、アクアリウムで問題になる藻は、通常、明確な形を持たない場合がほとんどです。
- 触感: 苔は触ると少し硬さがあったり、しっかりとした感触があったりします。藻はヌルヌルとしていたり、非常に柔らかく崩れやすい感触であることが多いです。ただし、この方法はあくまで補助的な見分け方としてください。
カビと藻の違いは何ですか?
カビと藻は、どちらも湿気の多い場所に発生し、見た目が似ていることがあるため混同されがちですが、生物学的には全く異なる生物です。
カビの特性
カビは菌類に分類され、光合成は行いません。有機物を分解して栄養を得る従属栄養生物です。色は白、黒、青、緑など様々で、フワフワとした綿状や粉状のコロニーを形成することが多いです。
テラリウムで発生する場合、土の表面や枯れた植物体などに白いフワフワとしたものが現れることがあります。これは湿度が高すぎる環境で、有機物が適切に分解されない場合に発生しやすいです。
藻の特性
一方で、前述の通り藻は光合成を行う生物です。そのため、基本的には緑色をしており、光のある場所で繁殖します。
水中に生息するものが多く、テラリウムではガラス面やソイルに緑色の膜状や糸状のものが付着して現れることがあります。カビは光を必要としないのに対し、藻は光がなければ成長できません。この点が両者の大きな違いです。

苔と藻の違いをまとめる
苔と藻は見た目が似ているため、しばしば混同されますが、生物学的な分類と生態には明確な違いがあります。この記事を通じて、両者の根本的な違いを理解できたのではないでしょうか。
- 苔は植物、藻は植物ではない光合成生物の総称です
- コケ植物は主に陸上で生活します
- 藻類は主に水中で生活します
- アクアリウムで「コケ」と呼ばれるものは藻類です
- まりもも藻類の一種です
- 苔と藻は光合成を行います
- 苔は維管束を持たないものがほとんどです
- 藻類は非常に多様な種類を含みます
- 緑藻類は陸上植物の祖先と考えられます
- 苔テラリウムの藻は養分過多が主な原因です
- 藻の予防には肥料の少ないソイルの使用が有効です
- 藻の発生後の対策にはソイルの入れ替えなどがあります
- カビは光合成を行わない菌類です
- 苔と藻を見分けるには生息環境や個体の形がヒントになります
- 苔 藻 違いを理解することは植物や生態系を深く知る上で重要です
いかがでしたか?このサイトでは苔に関する情報を幅広く発信していきます。
さあ、あなたも苔のある生活を始めてみませんか?
コメント